モディリアーニが描いた、コクトーの肖像画
「人が人を描く」画家といえばモディリアーニではないだろうか。
首の長い肖像画や裸婦画は誰も知るところだろう。
その中には、若き詩人コクトーの肖像画もある。
もともと、この肖像画が描かれたキャンバスは、
友人で“モンパルナスの帝王”と呼ばれたキスリングのものらしく、
モディリアーニが譲り受けたのだ。
彼とキスリングは競作して2つ肖像画、
あるいは2人の4つの眼から、コクトー2人を絵画として描いた。
しかし、コクトーはモディリアーニの様式美である、
目ずらしや長い首は、モノグラフで皮肉ったようだ。
「人が人を描く」画家のごとく。
映画作家が「人が人を撮る」という行為においても、
被写体の記録としてのドキュメントでもあるが、
本人そのもの肖像ではない。
いかなる様式美があるのか、
映画作家の演出もまた、観点のあり方なのだろう。
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